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悲しみは好きと比例、か

   

中学生くらいの頃から、音楽を聴く習慣がありました。最初は何かのテレビ番組で耳にした歌とか、ゲームのサントラとか、そんなのから聴くようになり、少しずつ流行っている歌だとかアーティストの曲だとかを聴くように。そうこうしていると中学の同級生がバンドを組んでいたりして、そういった友だちから勧められて聴くようになったアーティストの中に、BUCK-TICK がありました。そこから大学卒業するあたりまで、私は BUCK-TICK が物凄く好きでお気に入りでした。

大学を卒業して働き始めて、結婚して、子どもたちが生まれて、育児生活をすることになり、すっかり音楽鑑賞なんて疎遠な生活。そんな中、BUCK-TICK のボーカル、櫻井敦司さんの訃報を知りました。

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心にぽっかりと小さな穴

訃報を知ったとき、もちろん目を疑いました。57 歳という若さで他界という早すぎる別れに、多くのファンがショックを受けて悲しんでいます。私も “悲しい” という表現が適切な感情を抱きましたが、もう少し正確な表現をすると、心に小さな穴が開いた感じです。おそらく、以前のように音楽鑑賞する習慣があって相変わらずお気に入りのアーティストだったなら、もっと深い悲しみに包まれてしまっていたでしょう。不思議とそこまででもないのです。ですが、やはりショックはあり、何だか自分の大切な体の一部が無くなったようなそんな感覚なのです。

好きという熱量に比例して、悲しみと穴の大きさは大きくなるような気がします。そこまででも無い理由は、私の熱量は既に音楽鑑賞ではなく子どもたちに向いているからなのだと思います。

いつまでもあるモノは無い

私たちは普段の生活を当然のように思っていますが、これは錯覚です。いつまでも、いつでも存在するモノは稀有です。いつか終わりが来ます。私は BUCK-TICK を一度だけサマーソニックか何かのフェスで生で見て演奏を聴いたことがあります。物凄く感動しました。いつか単独ライブにも行きたいと思っていましたが、その思いは果たされることなく私自身が音楽離れをしてしまいました。

もうあの歌声を生で聴くことは出来ない、もうあのパフォーマンスを生で見ることは出来ない、もうあのメンバー全員が揃っての空間に居合わせることが出来ない。こういった事実が淡々と身に染みる感じがします。同じことがきっと、子どもたちにも言える話なのだと思います。何かの理由でお互い会えなくなることだって生じます。一番一般的で自然な流れで言えば、子どもの自立・独立です。それは親として喜ばしいことですが、同時に寂しさもあるでしょう。子どもとの接点、あることが普通で当たり前ではなく、有難い話なのだと改めて考え直すべきですね。

櫻井敦司さんのご冥福をお祈り致します。

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